patagonia短編映画シリーズ
「夢中にさせるもの」ー牧場経営者 エリザベス・ポエット
この牧場を変えなければならないというプレッシャーはありません。
私は頑固なのでむしろ少しも変えたいと思いません。
自分の子供そして孫たちに、いまと同じ牧場の姿を見せたいんです。
でも同時に牧場はあちこちでなくなっています。
ランチョ・サンブリアンはスペイン領の払い下げの土地を1837年に7代前の先祖が譲り受けたものです。
大学卒業後、一度全く違う生活がしたくて、牧場で育った私はニューヨークに行きました。
でも、いつもこころのどこかでここに戻ってきたいと思っていました。
頻繁に牧場に訪れるようになり、父や夫のオースティンを手伝ううちに
こんなすばらしい牛を育てているのだから、自分たちでビーフを売ったら
どうかと思いついたのです。
もともと食べ物に対してはこだわりがあります。
自分が食べるものについてはきちんと把握したいし、特に肉はその産地を知ることが重要だと思います。
ファーマーズマーケットならホルモンや抗生物質を投与されていない牛肉を買うことができます。
牧場で生まれ育ったものです。
お客さんに牧場の歴史や牧場主について知ってもらえるのはとてもうれしいことです。
牧場では牛と羊を飼っています。
これまでに干ばつや洪水侵食もあったし牧場ではいろいろなことが起こりますが、大切なのは牧場を守り、家族を守り、この土地のために最善を尽くすことです。
この辺りの牧場では牛を移動させるのに、四輪バギーではなく馬を使います。
よくカウボーイは絶滅しかけていると言われますが、ここの人たちはカウボーイ精神や牧場、そして環境を維持させようと強く思っています。
牛を使ったり動物を使ったりして働くことは、多くの人にとっては古い習わしで、「もう馬に乗る人なんていない投げ縄の仕方なんて知らない」というぐらい古い伝統ですが、ここではいまも健在です。
間違いなく家族経営の小さな牧場は、家族や隣人や隣接する牧場の協力がなければ存続できません。
みんなで助け合っているんです。
もちろんきれいな仕事ではありません。
農場や牧場で働く労働者なんです。
幼いうちから土地の大切さを教えれば教えるほど、子どもたちはそれを理解し、より頑固に私のように育つのだと思います。