私のうちの周りは、いわゆる第一次ベビーブーム世代の人が多くて、その上の世代80~90歳台というかたも結構いる。
犬の散歩をしていると、いろんな人が話しかけてきてくれる。
一様にうちの犬が16歳だと言うと驚くのと同時に、自分の過去の犬との生活を語り出す。
ゆっくりと、時折空を見上げ目を細めて語り出すのだ。
どうだろう、イメージで言うと昔、映画監督の山田洋二さんの作品で「学校」というものがあったがそれが近い。
人はみんなそれぞれに人生の喜びや悲しみがあり、それにいつも寄り添ってくれていた犬。
ああ、あのときはこうだった、ああだったと溢れる思い出のスイッチが入るのだ。
みんな語り出し方が、同じだから面白い。
しかし、話の内容が全然違うから深い。
そんな人々の姿に、やっぱり人っていいなぁと思うのだ。
やれ、世間ではいろんな事件など、人が人を傷つける話を耳にする。
私も長くそんなことを取材していた。
だが、もう一方で人はそれでも懸命に生きていて、あったかい話をいっぱい作っているのだ。
人は人に傷つく、しかし、結局、人は人に癒される。
そんなことを、散歩帰りに近所で見かけた蛍を見つつ思うのでした。