厚生省と労働省の間から生まれた社会保険労務士 ややこしくてもやもやするので年表にした

社会保険労務士以外の法律の資格は以前からあった流れの上にあったりするのですけど、社会保険労務士は戦後できた法律であたらしい資格と言えるでしょう。

厚生省と労働省にまたがっていた時もあるので、いまだにどういう経緯で社会保険労務士ができたのかいつももやもや霧の中ではっきりしない。

年表に並べてみました。

コンテンツ

戦前

昭和13年厚生省設立

昭和 13 年1月に内務省衛生局、社会局などの仕事を統合して、厚生省が発足。

名前の由来は「書経」の「正徳利用、厚生惟和(徳を正しくして用を利し、生を厚くしてこれ和す)」

国民の中の弱者を対象とした行政。


終戦から昭和20年代

昭和21年労働関係調整法公布

労働組合法と相まって、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防または解決することにより、産業の平和を守り、経済の興隆に寄与することを目指す法律。

国立公文書館で見れるのがうれしいですね。

下にリンク貼っときますのでよければどうぞ。

国立公文書館より

昭和22年労働省設立・労働基準法・労働者災害補償保険法・職業安定法施行

昭和20年に終戦を迎え、新しい時代の働き手を保護する目的で労働基準監督署ができる。

しかし、内務省の工場監督官から移籍してきた者は、威張る監督官が多かった。(昭和30年代には取締から指導行政に方向転換し納得させるようにシフトする)

労働省も厚生省も旧内務省がルーツ。

労働省は働くひとたちのための行政。

昭和24年労働組合法公布

大正時代ころから労働組合運動が盛んになってきたことを背景に、政府は労働組合法の制定を試みましたが、戦前には実現しませんでした。

終戦後の昭和20年(1945)11月に帝国議会に提出された労働組合法案は、同年12月可決成立します。

その結果、同年12月22日に労働組合法が公布され、翌年3月1日施行されました。

現行の労働組合法は昭和24年のものです。

昭和24年弁護士法公布

昭和26年行政書士法公布・税理士法公布

昭和28年日雇労働者健康保険法公布

昭和29年厚生年金保険法公布


高度経済成長昭和30年代

岩戸景気(昭和33年7月~昭和36年12月まで42か月間続いた高度経済成長時代の好景気)で人手不足が発生。

求人難から人を採りたい中小企業は社会保険の加入。

応募者から会社に「健康保険に入っているか?」というのが広まった。

しかし、社会保険加入には、当時は決算書、労働者名簿、就業規則、賃金規定などが必要で、中小企業の経営者としては頭を抱えたという。

手続き代行業発生

敗戦で職を失っていた知識層、税理士や行政書士やその事務員からの転進、公務員からの転進の3つのパターンが業界に参入。

昭和30年悪徳業者もいたので、業界団体を作り自主規制の動き。(東京都労働事務管理団体連合会→労務管理協会→日本労務管理士連合会に以降していく)。

昭和33年国民健康保険法公布

昭和34年最低賃金法・中小企業退職金共済法・国民年金法公布

昭和35年身体障害者雇用促進法公布


昭和43年社会保険労務士法公布

昭和40年日本労務管理士協会→昭和42年日本社会保険士会

名称で「労務管理士」は社会党の反対で不可。

「労務保険士」にしたら、業界の現状が社会保険が7割なのに社会保険がないのはおかしいとすったもんだの末に社会保険労務士となる。

労働省に社会保険労務士制度準備室設置

社労士法の対象団体

労務管理士を付与する団体は全国に9。会員数は2万6千人。

社会保険士を付与する団体は全国に1。会員数は1万2千900人。

社団法人日本労務管理協会(公益法人)、全日本労務管理士会(公益法人)、社会保険士会(公益法人)

社団法人日本労務管理士会(任意団体)、日本労務コンサルタント協会(任意団体)、全日本労政協会(任意団体)、全日本労務管理士連合会(任意団体)

関係団体として日本行政書士会連合会、日本税理士連合会など。

厚生省側の日本社会保険士会と労働省側の日本労務管理士協会の駆け引きが以後つづく

昭和44年職業訓練法公布・労働保険の保険料の徴収等に関する法律公布

昭和46年中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法公布・勤労者財産形成促進法公布・日本社会保険士会が(社団法人)日本社会保険労務士会に名称変更・日本労務管理士協会解散

昭和47年社会保険労務士政治連盟発足労働安全衛生法公布

昭和49年雇用保険法公布

昭和50年作業環境測定法

昭和51年全国社会保険労務士会誕生 

社労連と日社労の合併によるもの

昭和54年全国社会保険労務士会連合会設立

まとめ

文章で書くより年表にすると時系列になるので分かりやすい気がします。

厚生省と労働省の縦割り行政の駆け引きと、各団体の思惑が入り混じって今に至ったというのがよく分かりました。

団体が本の中では多すぎて、全部を理解するのはあきらめました。

厚生労働省が分割するという話とか聞いたりしますけれど、するとまたややこしくなりそうな気も。

もやもやは続きそうですね。

詳細な団体の変遷などは書籍などご覧ください。

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