本の紹介です。
大抵は速読で読んでますが、味わいたい本も中にはあり、これはじっくり味わった本。
作者は歴史学者の磯田先生。
本当いい本書かれます。
この先生の本をまとめて読んでいて、一般に眠たくなる歴史をいきいきと書かれる才能に驚いています。
この物語を映画化したものも見たけれど、歴史フアンとしては断然本の方が良かった。
内容についてさらりと書きます。
江戸時代は文字を読めたのが、主に武士と僧侶神官しかおらず、百姓は言われるがままに過ごすしかなかった。
鍵を握ったのは庄屋・肝煎さん。
全国で10万人いたとされ、その家族合わせて50万人が文字を読み書きすることができ、武士と百姓の橋渡しをしてきた。
武士は民政には余程のことがない限り関わらず、庄屋が民政をしていたのだそうだ。
お上は徴税と宿場には人馬を通行時には強制的に徴用するということをして、百姓とすればやられっぱなしであった。
この話は、衰退して村が離散崩壊していく様を見た人々が、表だってやれば刑罰に処せられるために、慎重に慎重に事を進めて行く。
やる気の無い役人、悪代官も登場し、親子の世代をこえた気の遠くなる根気で宿願を果たす人々。
たとえ、わが身、わが屋敷を失っても宿場を守る。
その信念を支えたものはなんだったのか?
実に読みごたえのあるものとなっています。